2011年3月19日土曜日

海のチカラで体も心も癒やされる――タラソテラピーを体験してみた

 ひょんなことから参加することになったテルムマラン?パシフィーク(千葉県勝浦市)でのタラソテラピー(海洋療法)無料体験。さまざまな療法を受けて、体だけでなく心まで癒やされた。

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 2010年1月26日。“痛勤”電車の帰途、1通のメールが届いた。

こちら、超オススメのリラックスできるところ。しかも無料! 通常は1万5000円くらいしますよって。鼻水も引っ込むかと。絶対申し込むべし。

 相棒cherryさんからの転送メールのタイトルは「【緊急募集】テルムマラン パシフィーク」。「はて?」とURLをクリックすると、「最近、疲れがとれなかったり、気分がさえなかったりすること、ありませんか? そんな方は、タラソテラピー(海洋療法)でリフレッシュしてみませんか」

 テルムマラン?パシフィークは千葉県勝浦市にあるタラソテラピー施設。タラソといえば「海藻パックやエステ」というイメージがあるが、新鮮な海水中での健康と癒やしのセラピーでもある。1月30日の1日体験ツアー、JTBの企画で男性限定20人、東京駅からの往復バス代を含めて無料になるのだという。慢性鼻炎、肩こりやヒザ痛、ストレスに悩まされる私、「ふうん」と思って申し込んだ。

●アクアラインを越えてアクアトニックへ

 当日8時半発のバス、募集の20人をはるかに超える約30人の参加で、相方連れもちらほら(相方は有料)。「人気あるんだ」とつぶやいているうちに、バスはアクアラインを越えて外房へ、いすみ鉄道とおぼしき単線路をまたぐ。これだけでも癒やされる気がする。

 途中に休憩を入れて2時間半のバス旅行を楽しみ、ようやく海を臨む丘にあるテルムマランに到着。東京ドーム13個分の広さの「ブルーベリーヒル勝浦」一帯は、自然たっぷりの別荘地帯。体験ツアーの一行は、ミーティングルームへぞろぞろと向かった。

 「メンタルヘルスツーリズムにようこそ。本日の体験コース、アクティブコースとパッシブコースをご用意しております」と女性セラピストのFさん。

 アクティブは“キネジセラピー(運動療法)”主体の水中エクササイズ、パッシブは“ハイドロセラピー(水療法)”主体のリラックスコース。水が苦手な私、ガンガンよりまったりのパッシブがいいと念じていたら、願いどおりそちらのコースになった。トリートメントプログラムは次の通り。

11:40?12:00 ツアー アクアトニック

ランチタイム

13:15?13:45 エアロゾル

14:00?14:30 ピシーナ リラクゼーション

●午前の至福

 ロッカーで海パンに着替えて、アクアトニックへ。

 パッシブの一行が向かったアクアトニックは、座浴や歩行浴、ジェットマッサージ、バブルバス、フィットネスプールなどがある、海水で満たされた癒やしと健康の施設。

 まずはセラピストFさんの案内で座浴へ。水につかるとジェット水流がほんわ?り腰と背中に当たり、「おぉっ」と思わず声が出る。自分の背中が「ありがとう」と言っている気がした。奥にあるシステムジェットは“ドドド”の強めマッサージ。首スジが「生き返ったぁ」と息をついた。

 そして、円形の気泡バスにみんなで入る。バブルの刺激がうれしい。しかし10人ほどのオトコたちが、泡風呂で肌を寄せ合って、ぐるりと囲む様子はハタから見るとヤバいかも(笑)。しかも、気泡の力が強く、体も浮くので、嫌でも肌と肌がすれ合うのだ。バブルバスは屋外にもあり、勝浦の海を眺める絶景。冬の冷んやりとした海風もまた清々しい。

 屋内に戻ると、ふくらはぎから背中、肩までのバックマッサージ。ツアーガイドはここで終わりだが、そのころには私は至福に包まれていた。それからカフェで、自然の食材を生かしたオードブル、スープ、主菜のカジキマグロをいただく。うまい。ハーブティでゆったり脱力だ。

 カフェで1つ気になったことがあった。男性が1人、慣れない手つきで給仕をしていた。片付けや水を配る姿が、どう見てもボーイっぽくない。これは後で「ハハン」とした。

●午後の至福

 “エアロゾル”は海水をミスト(霧状)に充満させた暗室での気候療法。ミストが気管支を浄化してくれて、鼻やのどにいい。青白い空間に横たわり、この世とあの世をさまよい、気を失ったかのよう。あっという間の30分で、立ち上がると不思議な浮遊感。鼻炎も引っ込むわけだ。

 次の“ピシーナ リラクゼーション”はフロート(浮き具)を使う海上無重力体験。 泳ぎ下手な私、本当に浮いていられるか不安だったが、セラピストTさんに言われるまま、浮き具を首の後ろに当てて、両足をプールサイドのレールに乗せると……あ、浮くじゃない!

 耳まで海水につかり、顔の上部のみ水面に出す。外の音が水中で遮断され、ボワンと聴こえる。海中感覚とでもいうのだろうか。やがて足がプールサイドから離されると「ああ、沈む!」と焦ったが、ちゃんと足の下にフロートを入れてくれて「浮かんだぁ」と一安心。浮き具を押されて、回されるのがキモチいい。

 「寝ちゃってもいいです」とはTさん。約20分後、海中世界から帰還したが、本音を言うと帰りたくなかった。

●テルムマランに行くために働く

 終了時刻に「ふう?っ」とロビーに出ると、そこにいたのはニコやかに笑うセラピストFさん。基礎化粧品やトリートメントアイテムを販売するショップで、売り子をしていた。先ほどの「ハハン」の正体はマルチタスク。セラピストは体のセラピーだけではなく、食事や販売までマルチなサービスを通して、お客さまの体の体験と心の体験を一貫してサポートするのだ。専業の売り子ではないので、どのセラピストも「売らんかな」とギラギラしていない。テルムマランのおもてなしの秘密をかいまみた。

 欧米ではスポーツ選手や芸術家にも愛されるというタラソテラピー。ココロとカラダのぜい沢な時間がゆったり流れ、海の力で生まれ変われるからだ。私は、「これからの人生、数カ月に1度、ここに来るためにせっせと働こう」と誓った。現に次の予約チケットは、もう手元にある。【郷好文】

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引用元:ローズ(Rose) 専門サイト

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